「そうだ。ただ、あのときは『企業は収支計算書を使わない』と言ったけど、実は企業も収支計算書を作っている。それがこのCS、キャッシュフロー計算書だ。ただ、一般的な収支計算書は、『収入』『支出』『残高』という3つの欄に分かれているが、企業が作る収支計算書であるCSは構造が少し違う。『営業活動によるキャッシュフロー』『投資活動によるキャッシュフロー』『財務活動によるキャッシュフロー』の3つに分かれている。なぜ、このように3つに分かれているかはわかるね」

「すべての企業に共通する3つの活動を表すためですか?」

「その通りだ。企業のお金を集めるところが『財務活動によるキャッシュフロー』に、投資するところが『投資活動によるキャッシュフロー』に、どうやって利益をあげたかというところが『営業活動によるキャッシュフロー』に書かれているんだ。つまり、すべての企業に共通する3つの活動を現金の動きという観点から整理したのがCSなんだ」

「そういうことなんですか~」

「そうだ。そういうことだ。僕はこれが財務会計の一つの全体像だと思っている。財務諸表にはいろんな数字が書かれているが、ザックリ言えば、財務諸表が表しているのは、すべての企業に共通する活動である、お金を集めて、投資して、利益をあげるという3つの活動だけなんだ」

「世の中はシンプルなんですね~」

「そうだ、世の中は極めてシンプルだよ」

 2人は目を合わせて互いに微笑んだ。

(毎週水曜日更新。第3回は9月24日公開予定です)


◆書籍編集部からのお知らせ◆

財務3表は「企業の3つの活動」を表したもの

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【主な目次】
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PART3 財務3表で会社の状態を読み解いてみよう
PART4 会計を現場で使うための基本的な考え方を学ぼう

本体1300円+税、本文2色刷、168ページ、
ISBN978-4-478-02829-2

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