「そうだ。ただ、あのときは『企業は収支計算書を使わない』と言ったけど、実は企業も収支計算書を作っている。それがこのCS、キャッシュフロー計算書だ。ただ、一般的な収支計算書は、『収入』『支出』『残高』という3つの欄に分かれているが、企業が作る収支計算書であるCSは構造が少し違う。『営業活動によるキャッシュフロー』『投資活動によるキャッシュフロー』『財務活動によるキャッシュフロー』の3つに分かれている。なぜ、このように3つに分かれているかはわかるね」
「すべての企業に共通する3つの活動を表すためですか?」
「その通りだ。企業のお金を集めるところが『財務活動によるキャッシュフロー』に、投資するところが『投資活動によるキャッシュフロー』に、どうやって利益をあげたかというところが『営業活動によるキャッシュフロー』に書かれているんだ。つまり、すべての企業に共通する3つの活動を現金の動きという観点から整理したのがCSなんだ」
「そういうことなんですか~」
「そうだ。そういうことだ。僕はこれが財務会計の一つの全体像だと思っている。財務諸表にはいろんな数字が書かれているが、ザックリ言えば、財務諸表が表しているのは、すべての企業に共通する活動である、お金を集めて、投資して、利益をあげるという3つの活動だけなんだ」
「世の中はシンプルなんですね~」
「そうだ、世の中は極めてシンプルだよ」
2人は目を合わせて互いに微笑んだ。
(毎週水曜日更新。第3回は9月24日公開予定です)
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