デビュー、そして旅立ち

 ロビン・ウィリアムズの映画出演は神父から大統領、女装役まで多岐にわたり、50本を越えます。

 スタンダップコメディーで頭角を表し、テレビシリーズでお茶の間の人気を得ました。そして、1980年ロバート・アルトマン監督「ポパイ」で映画デビュー。アニメのポパイを実写で演じ、ロビン・ウィリアムズここにありと強く印象づけました。

サウンドトラック盤(写真)は、ハリー・ニルソン監修(トリビアですが、映画「真夜中のカウボーイ」主題歌もハリー・ニルソン)です。ニルソンの楽曲をポパイ役のウィリアムズが渋く唄っています。29歳の若きウィリアムズの芸達者ぶりが眩しいです。

 その後、1987年「グッドモーニング、ベトナム」でブレイク。この段階では、未だコメディータッチの個性的な俳優という域を出ていなかったかもしれません。

 そして、97年の「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」で、更に進化したロビン・ウィリアムズの真価が発揮されたのです。

 設定は、ボストンのコミュニティーカレッジの心理学教授。マット・デイモン扮する天才的な頭脳を持ちながら非行を繰り返す悩める青年の心を癒し、幼年期の呪縛から解放していきます。時に本気で怒り、心から慰めるウィリアムズは、派手なところなどなく、等身大の人物が語る映画のリアルを明示しました。

 『悪いのは君じゃないんだ』と、デイモンに何度も繰り返し言う場面は、本物の誠意というものを感じさせます。

 人生の真実は、さり気ない日常の積み重ねや恩師と呼べる人との出会いにある、と静かに語りかけて来ます。

 『君だって完璧からほど遠い。彼女だって完璧じゃない。大事なことは、君らが互いにとって完璧か、ってこと。それを確かめるには飛び込んでみるしかないんだよ』

 この言葉を胸に、デイモン演じる青年は、友人が誕生日にくれたオンボロの赤い車で西海岸へと旅立ちます。輝く未来が待っている、と予感させる素晴らしい場面でした。

 この場面で流れていたのが、この映画のためにエリオット・スミスが書き下ろした“ミス・ミザリー”です。ちょっとアンニュイで、囁くようなスミスの声が、生ギターに乗って唄いはじめると、ドラム・ベース・Eギターが入り8ビートで加速します。この曲には、現在に対する諦めと不満、未来への期待、自信と不安、疾走し変化を求める本能が溶け込んでいます。陰影に富んだ奥行きのある曲です。98年アカデミー賞候補となりました(最終的には「タイタニック」のセリーヌ・ディオンが受賞)。