ダイヤモンド社のビジネス情報サイト

20代半ばで翻訳家デビューを果たした人も!
「出版翻訳オーディション」の可能性

待兼 音二郎
2014年9月10日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
3

人づてでの横のつながりに頼りがちな
出版業界の構造的問題に風穴を開ける

 既にプロとして活躍している翻訳家にとっても、オーディションは仕事を広げるチャンスとなる。冒頭に挙げた「出版社の壁」が、プロデビュー後も往々にして立ちはだかっているからだ。

 出版社の編集部は決まって多忙だ。外注が欠かせない業種でありながら、締め切りに追われる仕事を限られた人数で回しているため、外注先は「確実に一定レベルの成果物を締め切りまでに上げてくれるあの人たち」に固定されがちだ。

 新たな外注先を探したい気持ちはあっても、公募などすれば応募が殺到するに決まっているので、業界の横のつながりで知り合いにいい人を紹介してもらうくらいしか手がなかったのがこれまでのところだ。また、翻訳家のほうでも、同じジャンルの書籍を出している出版社が他にもあるのを知っていながら、編集者にツテがないことから他社への営業を躊躇し、結果的に決まった取引先の仕事ばかりを受けることになりがちだった。

 そんな「出版社の壁」を打ち払う意味でも、「出版翻訳オーディション」は示唆に富んでいる。プロでも応募できるので、課題書を狙い定めて応募することで、得意分野で他の出版社からの仕事を受けたり、新たな分野に挑戦したりすることができる。

 クリエイターにつきものの「狭き門」と「出版社の壁」。これまで述べたように「出版翻訳オーディション」は、その両者の解決策として多くの可能性を秘めている。

 原文という評価基準のある翻訳だからこそ可能な選定方法だとも言えるかもしれないが、他のジャンルにも応用できる余地はないだろうか?たとえば、クラウドソーシングの各種サービスには、「コンペ」形式の発注方法がある。企業や商品のロゴやキャッチコピーなどについて、会員から提案を募集し、発注先を選ぶというものだ。

 これらは、ミニオーディションという観点で、トランネット社のサービスに通じるところがある。どちらも、人材発掘の新たなあり方として参考にできるのではないだろうか。

(待兼音二郎/5時から作家塾(R)

previous page
3
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

デジライフNAVI

目まぐるしいほどの進化を続けるデジタルの世界。最新の商品やサービスをいち早くキャッチアップし、最先端のトレンドをナビゲーションします。

「デジライフNAVI」

⇒バックナンバー一覧