関東再編の引き金を握る

 ただ、9行連合をはじめとした多くの地銀連携は、中身が伴っていないという指摘にもさらされている。「地銀再編への圧力を強める金融庁の批判をかわす、隠れみのでしかないのではないか」(地銀幹部)といわれる始末だ。

 そのため、今回の2件が横浜銀の本当の汚名返上だとは誰も思っていない。遅々として進まない地銀再編こそが横浜銀の狙い、というのが多くの地銀関係者の見方だ。

 ある地銀幹部は「関東は再編の台風の目」と見立てる。そして、こう続けた。「横浜が再編を仕掛けた瞬間、均衡が一気に崩れる。常陽銀行や千葉銀行など、関東有力行がドミノ倒しで再編に動かざるをえなくなる」。

「再編が実現するかは結局、人のつながり」。別の地銀幹部がしみじみ語るように、振り返れば今回の案件で培った人脈が、その後の再編につながったといわれる日が来る可能性も考えるほど、地銀界は再編に敏感になっている。

 こうした周囲の反応に、横浜銀は困惑する向きもある。ある横浜銀幹部は「地縁で結び付いている銀行同士の経営統合は本当に難しい」と、諦めにも似た本音を吐露した。

 しかし、そんな思いをよそに地銀界では「再編の先鞭をつけられるのは横浜だけ」という期待と、「横浜に動かれたらまずい」という不安の気持ちが入り混じっている。“その時”が訪れたら、他行をのみにいくのか、のまれるのか。横浜銀の一挙手一投足の先に再編を見ている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)