ビジネスを成功させるには
自分の能力も他人の能力も過信するな

 ちなみに、「自分の能力の限界を知る」「領分をわきまえる」ということは、どんな部署のどんな立場の人も肝に銘じるべきである。たとえば、クリエイティブのプロに広告の制作を依頼したとする。そこで、自分たちが求めるものを細かくクリエイターに伝えるのは必要なことだ。しかし、彼らの制作に細かく口出ししたり、「広告の勉強をして、自分もある程度わかっているから」と具体的なアイデアを出したりするのはやりすぎだ。

 この場合も、受注側と発注側という力関係があるため、クリエイターたちは「そんなふうにしたら変だな」と感じていても、あまり強く反論することができない。すると、自分の思い通りにはなっても、結果的には魅力のない、宣伝効果がない広告が完成することになる。発注側が細部にまででしゃばると、ロクなことがない。

 ビジネスを成功させるうえでは、自分の能力も他人の能力も過信してはいけない。能力の範囲でお互いの得意分野を生かすことが、もっとも会社の繁栄につながるのである。

(構成/大高志帆)

※なお、本記事は守秘義務の観点から事案の内容や設定の一部を改変させていただいているところがあります。

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