宮嶋氏は広域合併への旗振り役を自任するようになった。もっとも、広域合併構想は住民から湧き上がってきたものとはいえず、首長の1人走りの感が強かった。合併機運の乏しいなかで、宮嶋氏は自分の思いの丈を強く発信していたのである。

前市長の不祥事で続投に自信深めるも
大震災で実態は思わぬ方向へ……。

 宮嶋氏は翌年(2014年)に迫った市長選への意欲と自信を強めていた。

 その理由の1つに、前回市長選で退けた坪井透・前市長側の不祥事があった。妻が経営する農事組合法人が、法人税など約2417万円を脱税したとして、2012年7月に有罪判決を受けていたのである。

 判決によると、1985年に設立されたその農事組合法人は、売り上げを除外するなどの不正な税務処理を日常的に行い、納付すべき法人税の全額を免れていた。その額は、2010年までの3年間で約2417万円にも達していた。裁判所は経理全般を統括していた坪井氏の妻の健全な納税意識の欠如は明らかだとし、懲役10ヵ月・執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。

 農事組合法人の理事は3人で、いずれも坪井氏の家族である。本人は「経営に参加していなかった」と弁明したようだが、市長時代の家族による悪質な脱税事件が住民に広く知られ、「市長に立候補する資格なし」との見方が強まることになったのである。

 ところが、予想外の出来事が起き、思わぬ方向に事態は動き出す。きっかけとなったのは、東日本大震災の被災地3県への職員派遣だった。宮嶋氏は「うちの職員はそこまで腐っているのかと、頭にきてしまったんです。志願者が出ないなんてそれはないだろうと……。この体質を直さないといけないと思ってしまったんです」と、当時の心境を明かす。

 震災復興を目指す被災地では仕事量の激増により、どの自治体も極度の人手不足に見舞われていた。職員は皆、疲労困憊の日々を送り、体調を崩す人も少なくなかった。こうした被災自治体の窮乏を少しでも和らげようと、全国の自治体から職員を助っ人に出すことになった。派遣された職員の給与を国が持つという仕組みがつくられ、全国各地から使命感に燃えた自治体職員が続々と被災地に馳せ参じるようになった。

 被災地の隣県である茨城県でも、市長会が有志を募ることにした。かすみがうら市も2013年11月、全職員約400人に派遣希望者を募った。期間は2年程度とした。宮嶋氏は職員の1%、4、5人程度を送り込みたいと考えていた。