本来、英国政府は住民投票に付したくはなかったはずであるが、スコットランドの独立に向けたスコットランド議会の政治的気運に抗し切れず、民主主義であるが故に分離独立といった重大事を住民の素朴な判断に委ねざるを得ないのは皮肉なことである。

米国のイスラム国空爆にも世論の高まりが
合理的な国益判断を可能とする体制強化を

 米国においても、オバマ大統領は従来の態度を変え、「イスラム国」空爆の拡大やイラクへの軍事支援の拡大、反イスラム国パートナーの構築を明確にした。そもそもイラク、アフガンからの撤兵を主張して大統領となったオバマ大統領としては、必ずしも容易な判断ではなかったはずである。

 しかし、「イスラム国」の名の下のイスラム過激派が米国人ジャーナリストの首を刎ねるという蛮行を重ね、米国人の愛国心をいたく刺激したことが、直接のきっかけとなった。米国が行動しなかったならば、国際社会における米国の指導力の一層の低下を招いていたかもしれない。

 今後、民主主義統治体制で最も重要になるのは、重要課題について政府が説明責任を尽くし、議会や国民の間の議論を活発化させ、合理的な判断が行われる体制を強化することなのであろう。国民の感情の高まりの中での判断が、国益を大きく損ねる結果となるかもしれない。

 日本でもナショナリズムが排他的になり、世論迎合的雰囲気の中で非理性的な選択がなされないよう、目を光らせる必要があろう。