話題の書『【NHK式+心理学】一分で一生の信頼を勝ち取る法』著者で、NHKキャスター歴17年の矢野香氏に、「NHK式」やってはいけない7つの話し方、を伝授してもらった。
どんな話し方をすると、信頼を失うのだろうか?

なぜ、悪い例を知ることが
大切なのか?

矢野 香(やの・かおり) スピーチコンサルタント。信頼を勝ち取る「正統派スピーチ」指導の第一人者。 NHKキャスター歴17年。おもにニュース報道番組を担当し、番組視聴率20%超えを記録した実績を持つ。 大学院では、心理学の見地から「話をする人の印象形成」を研究し、修士号取得。 現在は、国立大学の教員としてスピーチ研究を続けながら、政治家、経営者、上級管理職、ビジネスパーソン、学生などに「信頼を勝ち取るスキル」を伝授。 相手に与える印象の分析・改善力に定評があり、話し方・表情・動作を総合的に指導。全国から研修・講演依頼があとをたたない。 著書に、ベストセラーとなった『その話し方では軽すぎます!――エグゼクティブが鍛えている「人前で話す技法」』(すばる舎)などがある。 【著者オフィシャルサイトはこちら】

 拙著『【NHK式+心理学】一分で一生の信頼を勝ち取る法』の発売以来、いくつかの出版記念講演会を開催しました。
 そこで読者の方とじかに触れあうことができ、いろいろな質問をいただきました。

 きちんとした場だから、きちんと話そう。
 そう思っても、どんな話し方をしていいのかわからない。
 そんな方々が大勢いらっしゃいました。

 スピーチであれば、インターネットで模範文例集を探すことも可能ですが、日常の会話の一つひとつに文例集などありません。

 そこでオススメなのは、
「どのように話せばいいのか」
 という正しい例を学ぶのではなくて、

「どのように話してはいけないのか」

 という悪い例を知っておくことです。

 悪い例を知る。
 これは、私たちが研修で行っている方法の一つです。
 研修では、実際の放送の中からよい例を見るとともに、失敗とも言える悪い例も見ていました。
何が悪いかの指摘ができるということは、何がよいかを知ること以上に上達の秘訣でもあります。
その研修の中で、ある講師に言われたひと言がすごく印象に残りました。

「NHKの話し方を、あなたたちは継ぎなさい」

 この言葉から日本で最初に開局した放送局としての誇り、話し言葉へのこだわりを感じ、伝統を受け継ぐ者の使命を強く感じたものです。

 NHKには、NHK放送技術研究所という日本で唯一の放送についての研究所があります。
 そこでは「やさしい日本語ニュース」というわかりやすい言葉で伝える研究が日々行われています。