アメリカ・ソルトレイクシティを本拠地とする世界規模の人材コンサルティング会社、O・C・タナー・カンパニー。同社が保有する世界最大規模のデータベースから明らかになった「いい仕事」をする人の極意とは? 9月19日に刊行された書籍 『500万人の成功体験からわかった 「いい仕事」をする人の45の極意』から、内容の一部を紹介していく全4回の連載です。
名前を知らない人などいない超有名起業家、世界的企業のエグゼクティブから、名もない営業マンや病院の清掃員、カメラマンやデザイナー、スポーツ選手まで、ありとあらゆる職業を網羅した500万件を超えるデータベース。そして、200人に対する長期にわたる徹底インタビュー。かつてない規模で行われた大規模調査から見えてきた真実とは――
「いい仕事」をする人の極意3:偶然わいた疑問をまじめに受け止める
その道のド素人からバカバカしい質問を投げかけられることがある。
当たり前だと思っていることに疑問を投げかけられると、私たちはつい、なぜそんなわかりきったことをきくのだと言わんばかりの態度をとる。まるでいまのやり方が当然で、議論の余地はないかのような説明をするのだ。
ところが、調査によると「いい仕事」をする人は、素人から一見バカバカしい質問を投げかけられた時こそ、それをまじめに受け止める傾向のあることがわかった。
これをやってのけたのが、ポラロイドカメラの生みの親エドウィン・ランドだった。
1944年、ランド家はニューメキシコのサンタフェで休暇を楽しんでいた。3歳になる娘のジェニファーには気になることがあった。父親のエドウィンはそのときのことをこう振り返る。
「ある晴れた日のことです。娘が『なんで写真はすぐに見られないの?』と尋ねてきました」エドウィンは、暗室という場所でネガフィルムから特別な紙に焼きつける作業が必要なんだよ、と説明した。でも、3歳の子どもにはちんぷんかんぷんだったにちがいない。