天候不順が夏の景気を下押したことなどから、「今年の漢字」の現時点での候補は「天」と考える。8月、広島県の自殺者は前年比+44%だが、全国では減少を維持している。大相撲秋場所では、企業の広告費の代理変数と言える大相撲懸賞本数の史上最高更新が見込めるなど、天候要因以外の身近なデータはしっかりしている。7月分のボーナスは家計調査と毎月勤労統計では前年同月比で10%超もの開きがある。統計の読み方に注意が肝要だろう。
8月豪雨が
景気回復に水をさす
7月30日から8月26日の期間の異常気象は、台風11号(8月10日上陸)・12号(8月上旬接近)が連続して接近するとともに前線が日本付近に停滞し、そこへ暖かく非常に湿った空気が連続して流れ込み、各地で大雨となったためだ。
気象庁により「平成26年8月豪雨」と命名された。8月分降水量は異常で、近畿地方は平年の3.85倍、四国地方は同3.74倍と1946年の月次統計開始以降最高となった。また広島で土砂災害の被害が出た中国地方は、同2.76倍で第3位の記録である。8月19日夜から20日明け方にかけて広島市を中心に猛烈な雨となった。
「平成26年8月豪雨」は消費増税後の反動減からの景気回復に水をさした。8月分の景気ウォッチャー調査の現状判断で、雨・台風・土砂災害についてコメントした人(気温についての天候コメントを除く)を数えると、全体の回答者1860人中1割強の191人だった。約1ポイント分8月分の現状判断DIを下押しした。
消費税引き上げ後も、限界的な雇用関連データと言える自殺者数は、前年同月比減少率が4月分の▲6.8%から7月分の▲11.9%まで順調に自殺者数を減らしていた。
しかし8月分では減少基調を継続したものの▲1.1%の小幅マイナスになった。中でも広島県は、前年比増加数が17人で兵庫県の26人に次いで2位。また前年比増加率は+43.6%で、+50.0%の高知県、+45.5%の熊本県に次いで第3位である。広島県警に問い合わせたところ自殺者の詳細はまだ把握していないとのことで、土砂災害との関係はわからないが、なにがしかの関係はありそうだ(表1)。