臨時国会が開会し、9月29日に安倍晋三首相が所信表明演説。それを受けて衆参両院で代表質問が行われ、その後、論戦は予算員会に移る。

 国連での演説や各国首脳との会談を経て、安倍首相はさらに自信を強めて国会に臨んでいるが、ここにきてようやく野党にも奮起する気配が感じられる。

 特に、民主党と維新の党が連携を強めていることはささやかな期待を生んでいる。

民主・維新が選んだ
“最強野党”への道

 開会前に各党を挨拶にまわった維新の党の松野頼久国会議員団長は、自民党の執行部に向かって「最強野党を目指す」と宣言したと言う。

 また松野氏は谷垣氏らに「もう“是”はありません」とも強調したという。

 それは橋下徹代表の「是々非々」路線を転換する意志の表明とも言える。

 政治の場での是々非々は、必ずしも「良いものには賛成し、悪いものには反対する」という意味ではない。むしろ圧倒的に“是”に重きを置かれるのが常識的解釈だ。だから、是々非々とは与党化に進む方針と言っても良い。

 26日に発表された維新の党の党見解によると、10%への消費税増税については、「いずれ必要となることは否定しない」ものの、「このタイミングでは反対」と明記している。また注目の原発政策については「即ゼロは政治的に責任ある対応とは言えない」としつつ「フェードアウト」を目指す方向を示した。

 奥歯にものがはさまったような表現だが、大筋では党の足並みを揃えたと言える。

 しかし問題は「肌合い」である。政党、政治家、支持層の肌合いの違いを薄めるのは至難の業だ。肌合いには、政治の掛け値なしの本質が表れるからである。