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「働き方」という経営問題―The Future of Work―

30年のキャリアから見れば、
出産や育児の数年のブランクは取るに足らない

河合起季
【第12回】 2014年10月17日
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「イクボス」的な
文化の定着を図る

 バクスター日本法人では、独自に「イクボス(育ボス)」キャンペーンも展開している。

 イクボスとは、社員の生活や部下の育児参加などに理解のある上司のこと。子育てに積極的な男性はイクメン、そのイクメンにならい、仕事とプライベートを両立しやすい環境づくりに努めるリーダーがイクボスだ。

 「ダイバーシティを当然のものとして受け入れ、組織に根付かせるうえで、イクボスの考え方を理解し、リーダーシップを発揮できる上司の存在は不可欠です。そうした思いから、遊び感覚で『イクボスシール』をつくって、イクメンを奨励してあげようという雰囲気を盛り上げています」

 育休に入る前に、上司がメンバーのビジョンについて話し合ったり、部下が希望したら育休中も連絡を取り合ったりするのは、同社ではよくある光景。イクボス的な文化がしっかり根付いているようだ。

違う部署の人と会話が弾む
完全フリーアドレスの新オフィス

 柔軟な働き方を進める一方、性別だけでなく、異なるバックグラウンドの人材が集い、議論を重ねて付加価値を生み出すような対面のコミュニケーションも大事にしているという。

 9月24日にオープンしたばかりの虎ノ門ヒルズ(東京・港区)の新オフィス(冒頭の写真)で、これまでの営業部門だけでなく、ほぼ全社員を対象にフリーアドレス制を導入したのも、コミュニケーションを促すのが狙いだ。

 そこには、どのような思いが込められているのだろうか。

 「私が考えているのは、とてもシンプルなこと。ワークスタイルレボリューション(働き方革命)を、この場所で実現することです。自分の席が決まっていないので、いろいろな人たちが偶発的に出会い、会話を交わし、付加価値を生み出すコラボレーションが起きることを期待しています」

 ナレッジワーカーが柔軟な発想力やコラボレーションなどを基に生み出した付加価値の高いアイデアや企画こそが、企業の競争力に直結する。彼らに求められるのは、常識にとらわれない創造性や感性であり、今の時代、その一人ひとりの多様性を生かすことが経営の大きな課題となっているのだ。一方、社員は自由な働き方が認められる分、よりクオリティの高い仕事が求められるようになることを自覚しておいたほうがよさそうだ。

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「働き方」という経営問題―The Future of Work―

人口減少による働き手の不足と経済・社会のグローバル化が、企業経営を取りまく大問題となっている。そのなかで、企業が競争優位性を築くためのキーワードとして浮上しているのが「ワークスタイル変革」だ。識者への取材や企業事例の紹介を通じて、すべての企業と働く人に問われている「働き方」の課題を明らかにしていく。

「「働き方」という経営問題―The Future of Work―」

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