テスト後の恒例の席替え(成績順)で、トニーは生まれて初めて最後列右端の席に着いた。そして、いつもトップを競っているママリーとエップスの右横顔を見ながら、「この二人は、僕が自然が大好きなように、いろいろな科目に興味があるから成績がいいんだ!」と気づき、晴れやかな気持ちになった。

 しかし、5分も経たないうちにトニーは愕然とする。あれほど自然に詳しいバリーが最も成績の悪い生徒の席に座っているのを見たからだ。「何で自分が一番で、バリーが最下位なんだろう?」その時はわからなかったが、バリーは読み書きができなかったのだという。

 この体験が彼のその後の人生を方向付けたといっても過言ではない。その日、トニー・ブザンは、誰もが本来のすばらしい才能を発揮するための「頭の取り扱い説明書」や「処方箋(Correct Formulae)」を探す旅に出た。