少年時代の疑問 「頭がいいって、どういうこと?」

 1950年のこと、当時8歳のトニー・ブザンは大親友の天才的な才能がテストの結果に表れなかったことに疑問を抱いた。自然に恵まれた港町、ケント州ウィツタブルの小学校に通っていた二人の少年は、放課後は山や川でいつも一緒に遊んでいた。二人とも自然が大好きで、バリーは生物や自然について驚くほど詳しかった。飛んでいる昆虫の種類を瞬時に言い当てるバリーをトニーは尊敬していた。そんなある日、授業中に担任のヘイク先生が生徒に指示した。

「イギリスの川に生息する魚の名前を二つ挙げなさい」
「昆虫と蜘蛛の違いを1つ挙げなさい」
「蝶と蛾の違いを1つ挙げなさい」

 トニーは知っていることをスラスラと書き出して提出したが、それがテストだったことを数日後に知る。

「この前のテストで100点満点をとった生徒がいる。トニー・ブザン」と先生に告げられ、トニーは何かの間違いだと思った。「満点をとれるはずがない!」しかし、返却された答案用紙を見ると確かに自分の筆跡だった。

「あれがテストだったなんて……川にいる魚は50種類以上書けるし、昆虫と蜘蛛、蝶と蛾の違いなら15以上挙げられる」ととまどいつつ、トニーは教科書と筆記用具を持って新しい席に移動した。