高学歴者の多くが「サラリーマン」の道を選ぶ日本においては、政治の道に進もうとする人間は極めてレアである。国会議員を目指すならまだしも、秘書やスタッフとして働く人材となると、なかなか確保が難しいのが現状だ。

 優秀な人がいても、自身も議員を目指している場合、選挙が近くなると事務所を辞めてしまうことになる。最近、地方議会議員のお粗末な事件が世間を騒がせたが、秘書やスタッフだけでなく、地方議会議員についても、人材の確保は非常に難しいのが現実で、鐘や太鼓を叩いて探してもよい候補者を見つけるのは難しい。日本全国の政治の現場は、深刻な人材不足に陥っているのだ。

 次に、仕組みの問題だ。収支報告書の作成は主に秘書が行う。しかし、秘書は前述したようにその人自身が政治家を目指していたりするので、選挙になると辞めてしまい、人の入れ替わりが激しい。その上、人材難であり、しっかりと収支報告書の作成に関する過去の経緯が引き継がれない現状がある。

 それゆえ、マスコミに過去の誤謬を発見されても、その時の担当者はもう事務所にいないためわからない、という事態は構造的に起きやすいのだ。

 最後に、小渕優子議員のような世襲議員にはありがちかもしれないが、強固な後援会や支援組織がしっかりしていればしているほど、議員本人にとっては中身がブラックボックスになりやすいということだ。新人候補者はゼロから自分自身で積み上げていくので、すべてを把握しやすいが、すでにあるモノの上に立つと、なかなか中身は見えないものである。これはベンチャー企業をゼロから立ち上げた社長と、大企業の社長との違いにも似ているかもしれない。

2人の女性大臣の辞任から
学ばなければならないこと

 今回の事件を、「また政治家の金銭スキャンダルが起きたな」と他人事で終わらせてはいけない。まず、筆者は有権者への利益供与など言語道断だし、カネのかかる政治体質にメスを入れることが、優秀な人材を政治の世界へ流入させるためには必要不可欠であると認識している。それに「金銭的にクリーンであること」は政治家として当然であると考えている。

 しかし、そうは言っても、政治家に対してそれをどこまで求めるか、また現状のルールが適当か、ということは、議論の余地があるのではないかと考えている。

 上場している株式会社がIR情報を公開するのは、その内容によって投資判断がなされるからだ。そして、企業の最終目的が「利益」を産み出し、株主に配当することである以上、企業には「金銭的なクリーンさ」が強く求められることになる。

 しかし、政治家の仕事は利益を生むことではないし、配当することでもない。政治家事務所の秘書やスタッフが、領収書を集めたり公開書類を作成することにばかり時間を使っているようでは、一体何のための政治活動なのか、わからなくなってしまう。