ナガセが動いた!
その後の「代ゼミショック」
教育ジャーナリスト。9月に「代ゼミショック!」を連載。大学卒業後、河合塾に就職。その後、独立して、有名大学等のAO入試の開発、入試分析・設計、情報センター設立等をコンサルティング。早稲田大学法科大学院設立に参加。元東京工科大学広報課長、入試課長。現在「大学ジャーナル」編集委員、「読む進学.com 大学進学」編集長、Pearson Japan K.K 高等教育部門顧問。Photo by Jun Abe
8月20日に、昔の同僚から「代ゼミで大幅なリストラ。自分も職を失うことになる」と連絡をもらった。
以来、代ゼミショックの騒動は今に至るまで続いている。私のところにもたくさんの取材があった。新聞、雑誌に収まらず、テレビ番組にも出たし、講演もした。そして、本を出さないかという話までいただいた。個人的には「代ゼミショック・バブル」である。
「代ゼミの次はどこか」「生き残る予備校はあるのか」……。
記者たちは「次」を探ろうとしている。とはいえ、この業界は明らかな斜陽産業である。それゆえ「次」に言及することなどできない。敢えて言えば「すべて」なのかもしれない。いずれ、どこもが少子化の中で縮小や業態変化が求められることになる。
そうこうしているうちに、10月27日、ナガセ(東進)が「早稲田塾」を12月1日より完全子会社化することを発表した。早稲田塾は首都圏を中心に、現役生を対象として24校を展開しており、「私大文系」を得意とする大学受験予備校である。
最近は「竹中平蔵世界塾」を展開したり、日本の高校生向けにスタンフォード大学やコロンビア大学で研修旅行を実施したりしている。開校当初は自習室が充実していることや「英単語道場」で話題を呼んだ。最近ではAO(アドミッションズ・オフィス)入試や推薦入試に力を入れている。
しかし、私大文系は少子化に伴いどんどん入学が楽になっている一方で、年末までには結果が判明してしまうAO・推薦入試の増大により、年間を通して授業料を確保することが難しくなっており、経営的には厳しい。
その先の展望も暗かったに違いない。理系研究者による「スーパープログラム」を展開して「脱・私大文系」を図ろうとしてはみたものの、駿台予備学校、河合塾の牙城はなかなか崩せるものではない。そうした中で、ナガセによる買収は渡りに舟だったことだろう。