「職場における学び」が、若手人材の成長のカギを握っていることが最近の研究でわかってきました。「ゆとり世代」をバッシングする前に、考える必要があるのではないでしょうか。私たち中堅・ベテランが業務を通じて的確な学びの機会を提供できているかどうか。さらには、私たち個々人が、ではなく、私たちが属している組織そのものに学びを阻害する要因がないのかどうか。

 今回は、そのうちの前者。私たちそれぞれが、的確な学びの機会を提供できているかどうかについてです。ビジネス環境の変化によって、陳腐化が避けられない私たち個々の「勝ちパターン」「成功体験」。それを万古不易と錯覚して、若手に押し付けていることはないでしょうか? 必要なのは「アンラーン(unlearn)」=学び壊しなのかもしれません。

新しい環境や状況に対し、
昔おぼえた手法が通用しない!

 政権交代によって、私たちがものごころついた頃からずっとずっと見続けてきた景色が大きく変わろうとしています。

 もちろん、すべては緒についたばかり。各論部分では齟齬や矛盾、不整合などいろいろなことが起きるでしょう。

 しかし、大事なのはトリビアルな完全整合ではない。

 すでに大きなストーリーは転調し始めました。それに対してワクワクするか、冷ややかに見るか、戦々恐々とするか。私たちにも様々なものが問いかけられています。

 いま起きつつあるのは、日本の社会文化の中にガッチリと根を張っていた「因習」、「既成概念」の学び壊しです。ビジネスで言うなら、「既存のビジネスモデル」や「過去の成功体験」をぶっ壊す、ということに似ています。ぶっ壊す、などと力むまでもなく、すでにぶっ壊れていたものを打ち捨てて、新たなイノベーションに向かっていく、ということでしょう。とっくにぶっ壊れていたものに、なおも恋々とするのはダサいですよね。

 私はドキドキしながらワクワクしている感じですが、みなさんはいかがでしょうか?

 この学び壊し、人材開発の世界では「アンラーン」と言います。

 業務経験を通じて獲得したナレッジをマニュアル化して反復することによって私たちの仕事は進行していくわけですが、これは、いずれ新たな環境の出来によって陳腐化することが避けられません。そうなる前に、アンラーンする必要があるのですが、これは言うほど簡単ではない。それは、これまでどおりのやり方で、これから先もずっとやり続けるほうが楽だからです。