「横浜銀行とわれわれ、どちらにとっても次の一手が命運を分ける」。業界再編の現実味が一層高まった関東圏の地方銀行幹部は、神妙な面持ちで危機感を吐露した。
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11月4日、地銀最大手の横浜銀行と東京都に本店を置く第二地銀の東日本銀行が、「経営統合の可能性を検討している」と発表した。2016年春をめどに共同持ち株会社をつくり、傘下に2行が入る案で最終調整を行っている。
2行は11月14日にも取締役会を開き、機関決定する見込みだ。実現すれば単純合算で総資産は15.8兆円。福岡銀行など3行を傘下に持つ地銀最大グループ、ふくおかフィナンシャルグループ(FG)の14.1兆円を超える目算だ。
最大手の横浜銀が動いたとあって関東圏の地銀は色めき立ったが、勢力図をすぐに大きく塗り替えるインパクトには欠けるため、関心は早くも次の一手に移っている。
都内地銀同士で経営統合を果たした東京都民銀行と八千代銀行に対して、「東日本銀は再編で取り残された」(地銀幹部)とみられていた。その中で、共に代々トップが旧大蔵省OBの天下りポストである2行が、その首脳級の人的つながりを背景に接近。「いわば“官製統合”による東日本銀の実質的な救済」(事情に詳しい関係者)という見方が大勢を占める。