「世界で最も尊敬されるサービス・ブランドとなる」というビジョンのもと、顧客に最高の便益と価値を提供し続け、最も価値ある総合金融サービス会社としての地位を確立しているアメリカン・エキスプレス社。前回に続き、上席副社長として同社を率いる中島氏に、ターニングポイントとなったシンガポールオフィス代表への着任や、日本人の良さ、ビジネスパーソンの市場価値の高め方、リーダーに求める資質などについてお話を伺った。

「セルフブランド」をつくり、市場価値を高める

なかじま・よしみ
シティバンク、ソシエテジェネラル証券などにて要職を歴任後、2002年アメリカン・エキスプレス・インターナショナル,Inc.に入社。2011 年にシンガポールのカントリー・マネージャーに就任。アジア地域の女性リーダーとして数々の講演活動をシンガポールで行い、アメリカン・エキスプレスの企業価値の向上に努めた。2014年2月より現職。自身の国内外でのキャリア経験をもとに、リーダーシップやダイバーシティーの重要性について語りかけ、社内外で学生や若手社員の育成に積極的に携わっている。過去には、サンフランシスコ州立大学の国際経営学部の外部役員の一人として、学生のキャリア開発やカリキュラムについてのアドバイザー役を務めた。

南 これからの日本、もしくは世界で活躍するために、ビジネスパーソンはどのように市場価値を高めていけばいいとお考えですか？

中島 人から求められ、自分からもリーチできるような、自身の考え方を発信できる能力を磨くことが重要だと思います。社員には、「セルフブランドを作らないと埋もれるよね」とよく話しています。ポジティブでもネガティブでも、自分がどのように見られているかを知ることと、自分である程度コントロールしたうえで発信することが大切ですね。

南 それは、業種や職種を問わず、誰でもできることですね。

中島 その通りです。年齢も問いません。キャリアを重ねるうちに身につく要素を加味しながら、セルフブランドを開発してほしいですね。人生順調なときばかりではないので、落ち込んだときの自分もミックスさせていけば、良い意味でセルフブランドが醸成されるはず。飾るのではなく、自分のどの部分を尖らせて発信するかに意識することが、価値につながるのではないかなと思います。

南 今は、10年前には存在しなかった役割や、スキルが必要とされていますしね。

中島 そうですね。変わっていくことを楽しめる好奇心が必要だと思います。

南 中島さんからは「楽しい」という言葉がたくさん出てくるのでうれしいです。同じ働くなら、楽しみながら働いて成功したほうがいいですからね。