検証委が出した「事故の教訓」は、事後対応の問題を含む。文科省は、有識者会議での調査・研究の主旨を、検証のあり方も含めて事故対応の議論をすると説明していたはずだ。

 この2点を踏まえれば、問題含みだった大川小の検証委員や事務局を務めた人物が、「学校事故の事後対応を調査・研究」するというのは、利益相反に当たらないだろうか。

大川小などの個別事例の調査は、
来年度に行われる可能性も

 文科省の国会答弁に反し、5日の有識者会議では、経緯を重視すべきという声も上がった。

 住友剛委員(京都精華大教授)が、この調査・研究のきっかけとなった、大川小の津波被災事故、調布市立小の食物アレルギー事故、京都市立小プール事故の3事例については、別途調査すべきではないかと提案したのだ。

 これに対し、文科省の学校健康教育課の課長補佐は、「大川小の事例は、有識者会議の大前提としてはあるが、もう一回直接的に調べ直すということは今回の委員会のスコープではない」と回答した。

 改めて住友委員が、

「もう一回調べ直すのではなく、検証報告書がまとめられるプロセスで、遺族のみなさんは何を感じられたのかということを聞く」

 とヒアリングの必要性を訴えると、

「来年度に報告書をまとめるにあたって、そういった事例は参考になるので、個別事例を含めてやっていくというのは、ひとつあるかもしれない」

 と応じ、大川小、調布市立小の食物アレルギー事故、京都市立小のプール事故の3事例は、次年度に別途調査が行われる可能性についても言及した。

 有識者会議は、遺族や被害を受けた側がさらに苦しむことにならないよう、国が始めた取り組みだ。だとすれば、関係性が「良好」とされる事例のほかに、遺族・被害者家族側から明確に「問題があった」と指摘されているような事例にも耳を傾け、現状を分析するべきなのではないか。

 事故や災害後に、遺族や委員、行政の関係者たちが直面する一連のプロセスには、見つめ直すべきポイントがたくさん詰まっている。指針作りに生かすのは、そうした実態に基づいた情報であってほしい。

(加藤順子)