Photo by Yoriko Kato
法的措置も視野に入れ始めた
遺族の悲痛な言葉
2014年2月23日、大川小学校事故検証委員会が最終報告書についての遺族向け報告会を開いた後、児童の遺族である7人の父親が、石巻市の合同庁舎会議室で記者会見した。
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「検証の報告では、責任の所在が、はっきりしない。私は、1人息子を亡くして、もう失うものもない。私は、弁護士と相談して、裁判に打って出たいと思います」
まもなく3年を迎えるにあたって、これからのことを質問された父親の1人は、抑えきれなくなった思いを、震えるような声で口にした。
「裁判に打って出たい、と思います」
これまでの迷いを吹っ切るように、その思いを繰り返し述べたのは、当時小学3年生の健太君を亡くした佐藤美広さん。
すると、次にマイクをとった父親たちも、意を決したように、こう続いた。
「石巻市教委が遺族と話し合いをしても、事実の検証にならなくて、検証委員会に丸投げした。その結果が、今日出ましたけど、また市教委に戻っていく。当然、期待できる状況はもう生まれない。法的措置をとることも検討していきたい」(当時小学6年生の大輔君を亡くした今野浩行さん)
「誰も裁判をしなくても、教育の現場で起きたことだから、早い段階で様々なことが明らかになると思っていました。しかし、石巻市教委と2年話し合い、一切なりませんでした。頼みの綱の第三者委員会もダメでした。あとは、法的手段しかないのかなと考えています。ずっと悩んでいます。いまでも悩んでいます。でも、覚悟しなくちゃいけないと思いました。今後も、私は真実を明らかにする可能性のある方向に進みたいと思います」(当時小学6年生の雄樹君を亡くした佐藤和隆さん)
「今後、遺族の思いはどうすればいいのかと、文科省や県教委に聞きましたが、それぞれお立場があるということで、市教委への助言や支援はできるかもしれないが、今回のことは市教委がもう一度、考えないといけないとお答えになりました。また、市教委に戻る。自分の子どもが犠牲になったのはなぜか。知りたいことを聞きたいだけなのに、たらい回し状態で、何の真実も明らかにならなかった。どうすればいいのかを考えると、法的手段を考えざるを得ないのかなと」(当時小学5年生の千聖ちゃんを亡くした紫桃隆洋さん)
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「3年にわたって、こういう状況に遺族が置かれている。新北上大橋の三角地帯で、子どもたち、地区住民、家族…たくさんの人の遺体が上がってくるのを確認しました。あんな思いをしてほしくないから、できる限りのことを親子でずっと頑張って来たんですが…。
市教委の対応は、子どもたちの聴き取りメモを破棄したり、(生還した)息子が聴かれた質問はなかったことにされたり、子どもの記憶は変わるものとまでいわれたり、最初から裁判を想定した対応のみ。すべてを見てきた息子に、市教委の先生がこんなことを言うのか。検証委員会も、遺族が調べ上げた事実をうやむやな状態にされて、そんな市教委に戻される。最終手段としては、裁判に打って出るしかないのかなと、思いました」(当時小学3年生の未㮈ちゃんを亡くした只野英昭さん)