“経営のカリスマ”小山昇氏の最新刊『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』でも取り上げられた建設会社の「後藤組」(山形県)。
3億円の赤字を3億円の黒字にしたという後藤茂之社長と、指導500社中100社が「過去最高益」、13年連続「倒産企業ゼロ」という小山昇氏の対談から、どん底からでも会社を変えるヒントを探ろう(構成・藤吉豊)。
3億円の赤字が3億円の黒字って!?
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年生まれ。12年連続増収増益、日本で初めて「日本経営品質賞」を二度受賞(2000年度、2010年度)。「指導500社中100社が過去最高益」「13年連続倒産企業ゼロ」を達成。全国各地で年間240回の講演・セミナーを開催。現場の叡智が詰まった内容は、全国各地から「今日から仕事に役立つ」と現場見学会参加者があとをたたない。机上の空論は一切なし!実務中心の内容が口コミを呼んでいる。
……株式会社後藤組(建設業/後藤茂之社長/本社:山形県米沢市)は、地元山形に根ざした建設・土木の総合的なサポートを展開しています。公共事業の減少など、建設業は右肩下がりですが、後藤組は堅調ですね。
後藤 公共事業が減ってきたので、不動産仲介事業やリフォーム事業など新しい民間の事業に取り組み、少しずつ軸足を増やしてきた結果だと思います。
……すぐに民間の仕事を増やすことができたのですか?
後藤 そのために、大手ゼネコンで副支店長を務めた人物を、後藤組の副社長として招き入れました。営業力の強化が目的ですね。ところが……、困ったことに、この方の存在が、会社を窮地に追い込んでしまったんです。
……どういうことでしょうか?
後藤 とにかくもう、経費の使い方がデタラメなんです。会社のお金でバンバン飲み食いする、現場の打ち上げを料亭でする、同じお客さんと何回もゴルフに行く、挙句に海外旅行にまで行く……。この人にきてもらえば「会社が強くなる」と思ったのに、結果はボロボロ(笑)。この方がきたことで、3億円の赤字を出しました。
……3億円の赤字? 武蔵野の現地見学会に行ったのは、そのことがきっかけですか?
日本一きれいな仮設トイレとは?
後藤 たった一人の人間のせいで、会社がこれだけおかしくなるのなら、たった一人の人間が会社を立て直すこともできるのではないか、と思ったんです。そこで、武蔵野の現地見学会に参加しました。私は、「飲まない、打たない、買わない」人間なので、「飲む、打つ、買う、バンバン」の小山昇はかなりあやしい、と思ったのですが(笑)、掃除で会社がよくなるなら安いと思って、2008年6月から、武蔵野さんの見よう見マネで環境整備に取り組んでいます。環境整備定着プログラムを導入したのは、2010年からですね。
……環境整備を取り入れて、会社は変わりましたか?
後藤 正直、私自身、「掃除をしたくらいで、会社が劇的に変わるわけがない」と、どこかで疑っていたんです。でも、結果が出ちゃった(笑)。工事現場には資材もたくさんあるし、「建築業では環境整備は無理」だと思っていたのですが、それは勝手な思い込みでしたね。現場が明らかに変わって、キレイになりました。