これに対してBMW関係者は「車内は、我々独自のインテリアデザインもあり、そうした影響はさほど大きくない」と答えた。他の2社関係者も、「影響は限定的」という意思を示した。

 だが、果たして本当にそうだろうか?
 それが、IT業界との接点に立つ彼らの本音なのだろうか?

 筆者は常日頃、自動車メーカー・及び自動車大手部品メーカー関係者らと「テレマティクスの脅威」について情報交換している。そのなかで、特に開発担当者や商品企画担当者の思考は、「モノ作り」の延長上の「モノ売り」の範疇に留まっているように思える。さらに一歩先にある「コト売りの威力」に対する認識が甘い。

グーグルの開発担当者が行なう「Android Auto」のデモ Photo by Kenji Momota

 ここで言う「コト売り」を具現化したものが、車載器とスマートフォンの連携である、アップルCarPlayとグーグルAndroid Autoだ。

 近年、世界の多くの人々にとって、日常生活のなかで必須アイテムであり、情報の出力・入力装置であり、さらにいえば所有者と「一心同体」であるスマートフォン。クルマに乗る際にも、当然ながらスマートフォンを持ち込む。これをIT業界では「ブロートイン(brought in)」と呼ぶ。そして、日常生活と同じように、またはそれに近い状態で、音楽、SNS、電話等のパーソナルデータとパーソナルアイテムを車内でも使いたい、という願望を持つのは自然なことだ。

 こうした話を自動車業界関係者としていると、次のような会話がよく出る。

「やはり、一番大切なことは安心安全。スマホ連携しても、運転に支障がないことが一番大事で…」

「API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)を、様々なOS(オペレーティングシステム)の間で規格の標準化を…」

 といった技術論か一般論が多く、「コト売り」という概念について協議されることはほとんどない。

 また、こんな声もよく聞く。