2014年に入り、欧米IT系ビックネームの自動車産業参入の動きが加速している。
アップル「CarPlay」やグーグルが主導する「OAA(Open Automotive Alliance)」、そしてマイクロソフトの「Windows in the car」等、スマートフォンと車載器の連携強化や車載OS(オペレーティングシステム)への介入による、「テレマティクス」領域での具体的な計画と商品の登場が相次いでいる。
また、アウディやダイムラー等の自動運転技術のロードマップ公開、EVではBMW「i3」の無店舗販売のトライアル、さらに日系自動車メーカー各社が参加するエンジンの基礎開発コンソーシアム「AICE(自動車用内燃機関・技術研究組合)」やEV等の電動向け充電インフラで共同歩調をとる新会社「日本充電サービス」発足等、次世代車に関係する新しい動きも数多い。
こうしたなか、筆者に対して多方面から問い合わせがくる。
なかでも多いのが、金融・証券・コンサルティング関連の大手企業だ。ここ数ヵ月間、日本滞在中は、東京・丸の内界隈での意見交換やセミナー参加の機会が急増している。
そうした会合の場で、最も多く聞かれる話題は「自動車産業の末路」だ。多くの金融筋が、直近のIT系の動きに自動車産業界が「追いついていける訳がない」という認識を持っている。彼らは自動車産業が「どのようにして負けていくのか?」に注目している。
しかし、筆者としては、金融筋の見方が全て正しいとは思わない。一方、自動車産業においては、自らの置かれた立場が「極めて危険な領域」にあると認識している関係者(大手自動車メーカー経営陣を含めて)が極めて少ないことも事実だ。
結局、日本では自動車産業に対する現状把握と、足元での変調、さらに今後3~5年の短期的な産業構造変化について、(少なくとも民間で、また筆者の知る範囲での霞ヶ関界隈で)「誰も正しく理解(または予測)できていないのではないか?」と、肌身で感じている。
日本経済の大黒柱・自動車産業の急激なネガティブスパイラル化は、日本が次世代へと歩んでいくなか、絶対に避けなければならないと思う。
そこで本稿では、日系自動車メーカーに警鐘を鳴らすカタチとして、筆者の意見を申し述べたい。
なお、本稿のタイトルで「グーグルに大負け」としたが、これは「グーグル」が直近でIT系として最も動きが目立つため、IT系の代名詞として使っていることをご了承願いたい。