「すみません。報告書は2枚にわたっています。案件が増えたので後ろのページにP社に関する営業活動の報告が記載されているはずですが…」

 Dさんはまたしても、報告書は1枚しかないと早とちりしてしまったのです。あまりに安易な早とちりに会議に参加していた同僚は苦笑いするしかありませんでした。それでもDさんはめげません。さらに、

「担当しているR社が買収される可能性があるようです。その対策についてですが…」

 と切り出しました。取り引き先が買収されれば、当然、取引には大きな影響をきたします。そんな動きを周りは押さえているのか、とDさんは自分の情報力を自慢したかったのかもしれません。ところが、

「Dさんが見た記事は某夕刊紙のものですよね。よく読んでのことでしょうか?可能性は低いが、買収されたら大変なことになる…と書かれていただけですよ」

 と、後輩からキツイ指摘を受けました。Dさんが営業で移動中に売店に並んでいた夕刊紙の一面記事のキャッチコピーを見ただけで、「R社は買収されるのだ」と早とちりしてしまったようです。

 もはやDさんの早とちりは仕事で少しでも関わったことのある人からすれば周知の話。以前は早とちりをして取引先が要望していない商品を「早急に納品してほしい」と倉庫に依頼したことがあったり、あるいはこれまで注文がなかった製品の契約がまもなく締結できると報告したものの実はDさんの早とちりだった…と、周囲はこれまでもたくさん迷惑を被ってきました。ですから、Dさんの早とちりへの免疫と対策ができてしまったようです。

 さらにプライベートでも早とちりから問題を起こしていました。自分が面白そうと注目した記事をソーシャルメディアでシェアしたところ、

<こんなくだらない記事をシェアする人の気がしれません。もう一度、読んでみてはいかがでしょうか>

 と指摘されてしまい、その後、ソーシャル上で炎上ギリギリ状態になってしまったようです。確かにDさんは記事のヘッドラインだけ読んで「面白い」と決めつけてシェアしてしまっており、決して中身を読んでシェアしたわけではありませんでした。

 余談ですが、ソーシャルメディアで面白い記事をみつけて周囲に共有したいと詳細を読む前にシェアしてしまう『早とちりシェア』はとても増えているようです。一度、シェアした記事を削除するのは難しいものがあります。よく読んでからシェアをするか決めて、自分の品格が疑われないように注意したいものです。