「仕事は楽しいものではない」とかつて私に教えてくれた先輩社員がいました。ところが最近は、「楽しい仕事だけやりたい」と、自分の好奇心のみで動きまわる若手社員が増えているようです。しかも、悩ましいことにその好奇心は簡単に満たされて、すぐに飽きてしまう様子。きっかけは単なる好奇心でも構わないので、腹をくくって仕事に取り組んでほしいと、周りの上司は先輩社員に感じていることでしょう。
そんな飽きっぽい好奇心で動きまわる若手社員に対して、周囲はどのように接したらいいのでしょうか?周囲が振り回されないためのマネジメントのポイントを学んでみましょう。
普段は居眠りばかりの若手社員が
“憧れの会社”への営業にやる気満々!?
身の周りや世間で起きている色々な事柄に、その都度ごとに首を突っ込んでいると、結局は自分が空っぽになってしまう。あるいは自分の空虚さを何とか埋め合わせる為に、あらゆる事に顔を向けている人もいるくらいだ。好奇心は、自分の能力を発火させる為には大切だが、世界の全てを見聞できるほど人生は長く続かない。若い時には自分が関わる方向を着実に見定め、それに専念していく方が、ずっと賢く、自分を充実させていく事ができる。
こう語ったのは、ドイツの有名な哲学者ニーチェです。ところが、現実には好奇心に振り回されてしまう人がたくさんいます。
「ご相談があります。今度、G社を訪問されるときに僕も連れて行ってください。是非ともお願いします」
と、先輩社員に声をかけてきたのは入社3年目のHさん。大手旅行会社で企業向けの営業をしているのですが、普段はおとなしく、上司から任された仕事に対しても意欲的な態度を示すことはあまりありません。しかも会議でウトウトと眠そうになる姿をよくみかけられています。ですから、周囲もやる気を示させるために、様々な指導を行っているといいます。
10年前であれば、やる気のない社員に対して「やる気がないなら辞めてしまえ」というような厳しい声が飛ぶ体育会系の職場でしたが、時代は変わりました。そんな体育会系のマネジメントをしようものなら、パワハラで訴えられてしまいます。事実、厳しい指導で出社拒否になった部下を持つマネジャーには、厳しい処分が下りました。