「UMAMI」を世界に伝える使命感

――林さんはNOBUスタイルをどう定義されますか?

 日本料理の良さやうまみをわかりやすく全世界に発信できるのがNOBUスタイルだと、私は思います。ノブさんには日本の「うまみ」を世界の人に伝えたいという使命感があります。初めてお会いして「ドライミソ」の宿題をもらったときに言われた言葉を今でもよく覚えています。「うまみってものを世界に伝えるのが僕の仕事なんだ。林さん、味噌もそうだよね、醤油もそうだよね。大分に行くと、どんこっていう立派なシイタケがあるよね。昆布もあるよね。海外の人はほとんど知らないけど、みんなうまみなんだ。このうまみをいかに楽しみながら経験してもらうか、それが僕の使命なんだよ」と。その後も一貫して「うまみ」とおっしゃっています。

 さらに2010年、スペインのバルセロナで開かれたコンシューマー・グッズフォーラムという世界中の消費財に関わる企業の経営者が一堂に会する大会で、日本のうまみをテーマとしたセッションがありました。3日間のうち、ダノン、ロレアル、ウォルマートといった世界的企業のCEOらがプレゼンするようなセッションの一つです。そこにパネリストとしてノブさんと菊乃井の村田吉弘さんが、アメリカ人の研究者などとともに登壇されたんです。ノブさんが何百人という欧米人を前にわかりやすく、通訳なしでうまみを英語で説明している、日本人としてこんなに誇らしいことはありませんでした。

 私もいろいろな味噌の楽しみ方を開発し続け、うまみを全世界に発信するお手伝いができればと考えています。

協力:NOBU TOKYO