この頃、世界的に注目を浴びている中国企業がある。通販サイト「淘宝網(タオバオ)」や「天猫(Tモール)」を手掛けるアリババだ。9月19日のニューヨーク証券取引所上場は世界最大規模の上場となった。手にした資金は約250億ドル。日本のメディアが「中国ネット業界の巨人がついに世界に向けて動き出した」と表現する。ちなみに、サイト上での取引量を示す今年4~6月の流通総額は、日本の大手である楽天の約18倍もある。
中国の「独身の日」11月11日の売上は
アメリカの感謝祭セール5日間の倍近く
遊び心からできた中国のショッピングデーとも言える11月11日の「光棍節(独身の日、最近は双11節と呼ぶようになった)」には大型セールイベントが行われ、1日24時間の総取引額が前年実績の58億ドルを大きく上回る93億ドルに達した。「13年の米国の感謝祭(ブラックフライデーとサイバーマンデーを含む5日間)に記録した53億ドルをも大きく超える規模となった」とも報じられている(電通報)。
ここまでの規模になると、アリババを統括する創業者の馬雲氏は自然に注目の人物となった。APEC首脳会議と双11節の大型セールが終わった直後の11月19日、水郷として名高い浙江省烏鎮で、中国が主催する「第1回世界インターネット大会」が開幕した。馬雲氏も出席し、スピーチした。このインターネット大会に、世界100近くの国・地域から1000人以上がゲストとして集まり、国外からの参加者には、GSMアソシエーションのAnne Bouverot会長、クアルコムのポール・ジェイコブス会長、リンクトイン創始者のリード・ホフマン氏らが名を連ねている、という。
馬雲氏のスピーチには、いろいろ考えさせられたところがあるので、私が感心したその一部をかいつまんで紹介したい。
まず、馬雲氏はアリババの成功の秘訣があるとすれば、それは失敗からの学習だと強調した。