中国のEコマース最大手アリババが米国時間9月19日に、ニューヨーク証券取引所に念願の上場を果たした。68ドルで売りだされた同社の株価は初日から急上昇し、38%高の93.89ドルで終了している。中国経済が危険水域に入っていると報道し続けてきた日本のメディアもアリババの上場で、久しぶりに中国についてのポジティブな情報を伝えた。その一連の報道を見ると、日本のメディアの素直さを感じられたところも結構あった。

時価総額は楽天の25倍

 たとえば、とあるテレビ局は、上場した世界のインターネット関連企業の時価総額上位のランキングを出して比較しながら、アリババの上場を報じた。

 Google(43兆9466億円)、アリババグループ(25兆2269億円)、Facebook(22兆801億円)、アマゾン(16兆6857億円)といったように紹介すると、アリババの規模が見えてくる。

 日本では巨大な存在と感じられた楽天も時価総額において、ざっと言えば、アリババの25分の1しかない。アリババの存在をあまり知らない日本の視聴者でも、その比較と報道を通してアリババに対してある程度理解を深めることができるだろうと思う。

取材に来たメディアの実例

 しかし、それでも長期にわたって色眼鏡で中国を見てきたせいか、そのアリババの上場に関する報道はやはりどこかずれてしまっていると感じるところも相当あった。中国と日本の経済情報などを伝える日常をしている人間としては、いろいろと考えさせている。

 私のところに取材に来たメディアの実例を分析してみよう。