前年同月比48.1%――。
デジタルカメラ市場の冷え込みが深刻化している。カメラ映像機器工業会(CIPA)の統計によれば、2009年1月の主要メーカー14社の全世界向け出荷金額が半減した。まさに危機的な状況である。不況による販売不振と、過剰在庫の投げ売りによる単価下落が原因だ。
お膝元の日本市場も状況は同じである。特に苦戦しているのがコンパクトデジカメで、販売台数がほぼ横ばいにとどまる一方、平均単価は2万円割れ目前と下落が激しく、その結果、販売金額は前年同月比二ケタ減が続いている。
窮地に立たされたメーカー各社は、新入学・新生活シーズンである春商戦に向けて、二つの大きな賭けに出た。
一つ目の賭けは、高付加価値路線の強化である。景気悪化で消費者の低価格志向が強まるなか、あえて新機能搭載による付加価値を訴求し、単価を維持しようというのだ。
カシオ計算機が、一秒間に30枚のハイスピード撮影が可能なコンパクトデジカメを5万円弱で投入するなど、「各社が個性を出し始めた」(道越一郎・BCNアナリスト)。だが、需要が半減するような市場環境で単価の維持、向上を狙うことはリスクも高い。
もう一つの賭けは、ハイビジョン動画撮影機能の搭載だ。主要メーカーが続々と対応機種を発売しているが、キヤノンやパナソニック、ソニーなどビデオカメラも販売するメーカーにとって、ハイビジョン撮影への対応は「両刃の剣」になりかねない。
これまで、デジカメは標準画質、ビデオカメラはハイビジョン画質というかたちで棲み分けしてきたが、今後は、ビデオカメラがデジカメに食われる可能性も出てくるからだ。
昨年、パソコン(PC)市場は、低価格ミニノートPCの拡販で成長を維持したが、消費者の値ごろ感も下げてしまった。CIPAの予測では、09年の日本のコンパクトデジカメ市場は台数ベースで3%のマイナス成長となる。価格訴求ではない方法で、市場縮小を食い止めようとする試みは成功するのか。まずは、春商戦が試金石となる。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 前田 剛)