いや、企業だったらね、もし赤字になったら真っ先に経費を減らして、赤字を削減しようということになるじゃないですか。なのに、なぜ政府は歳出を減らすことを先に言わないんですかね。本当に不思議ですよ。議論の焦点を意図的に歳入の方ばかりに持っていっているんじゃないですかね。

「社会保障だ、福祉だから……」と言いますけど、痛みを我慢してある程度この部分を削らないと、どうにもなりません。福祉が大事だっていっても、国家が破綻していいのか。そんなことになったら、福祉もヘチマもないんですよ。ハイパーインフレにして、一気に政府の借金をチャラにするんですかね。歳出を削減するとなると、福祉は大事だ、削れないと言って、議論を封じてしまうように見えます。

――可処分所得を上げるために、給料を上げるべきだということは、政府も言及しています。先月の政労使会議では安倍首相は経済界に賃上げを要請し、経済界もその必要性は認識しているようです。

 確かに、当社も含めて給料は上げないといけないと思っています。しかも、中間管理職以上の給料じゃなくて、現場の人の給料を上げないといけないと思います。

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 私は政府や政治家が直接、企業に給料を上げろというのは、奇異なことに受け止められやすいですが、評価して良いと思っています。選挙対策もあったのかもしれませんが、政府がそうやって言っていかないと。

 ただ、現実に給料を上げられる状況にあるのは、一部の輸出企業に限られると思います。いま上げずに、いつ上げるんだって思いますね。しかし、当社のような内需型の企業は、怖くて上げられない。明日、どうなるか分かりませんからね。そんななかで給料を上げたら、なかなか下げられないし、怖いですよ。

 消費税が8%になるまでは、株も上がって円も安くなって、外国人の旅行者も増えて消費が活発化しつつあった。賃金も上昇傾向だったと思います。でも、消費税を8%に上げて、一気に腰折れ。内需型企業は軒並み勢いがなくなった。

 やっぱりね、内需型の企業がダメだと、景気全体もダメなんですよ。お客さまがどんどん消費してくれるような気持ちにならないんですよ。おカネを大事に抱え込んでいる自分が正しい姿だと思っていると思います。この際、使おうという気持ちになるにはどうしたらいいかを考えないといけません。

 それには、株を上げて不動産価値を上げるような政策だけじゃダメです。やはり給料が上がらないと、それから内需型産業が良い状況にならないとダメだと思います。