投票所への入場券が、自宅に送られてきた。
封を開けると、性別欄に「男」と記されている。その場で入場券を破り捨てた。
「異性愛が前提になる社会」に生きにくさを感じる人たちがいる。
おがさわらたけしさん(35歳)も、その1人。東武東上線沿線の埼玉県東松山市在住で、「おがたけさん」の愛称で親しまれている、ネット上のひきこもり界隈では、ちょっとした有名人だ。
選挙のとき、投票所に行けば、自己申告で照合して投票することもできる。ネットには「投票に行きましょう」「投票は国民の義務です」「投票行かない人は、ダメな人です」といった書き込みも溢れている。しかし、
「性別欄に“自身の性別とされているもの”が表記されなければならない社会であることや、誰にでも見える形で男女のボタンが係の人に押されることに、痛みを覚える人のこと、考えていますか?それによって、投票に行かない、行けない人たちもいるんですよ…」
生まれつき「男性身体持ち」で、好きになる相手は男性。また自分の「男性でも女性でもない性自認」を「Xジェンダー」と表明するおがたけさんは、そう問いたくなるという。
こうした「セクシュアル・マイノリティー」の話題が最近、注目されるようになった。
セクシュアル・マイノリティーとは、社会においてある種の性のありようが非典型的とされるために、アンフェアな扱いを受けている人達を指して言う言葉だ。「性的少数者」「ジェンダーマイノリティ」「性的マイノリティ」などと呼ばれることもある。
「LGBT」も、セクシュアル・マイノリティーに含まれる。LGBTとは、Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシュアル)、Transgender(トランスジェンダー)などの頭文字の略だ。
実は、このセクシュアル・マイノリティーが抱えさせられる生きづらさも、「引きこもり」の背景にある要因の1つとしてリンクしている。