大義なき衆院選に覚える違和感
今こそ高倉健・菅原文太両アニキに誓う

年に数回、一般公開されるシンガポール大統領官邸。シンガポールは共和制なので大統領と首相の両方が存在する

 今回ははじめに、高倉健アニキ、菅原文太アニキのご冥福をお祈りしたい。日本中が衆議院総選挙のニュースに沸いているのは百も承知だが、「男の中の男」であらせられるアニキたちの訃報に、著者の心には隙間風が吹きまくっている。

 俳優として素晴らしいのはもちろん、両アニキは「男の中の男」を体現した日本の男の憧れ。生前の彼らの活躍を記したドキュメンタリー放送の翌日には、アニキたちの心意気に影響されつつ日々を過ごしたものだ。素晴らしい日本の財産が星に変わり、これからも日本を見守ってくださるものと信じている。故人の功績を偲び、安らかに眠られるようお祈りする。

 アニキたちのためにも、ますます日本のために頑張らねばならぬと筆者は自分なりに心に誓った次第だが、なにはともあれ、目先の注目は衆議院総選挙であろう。

 安倍首相は今回の解散総選挙を「アベノミクス解散」と位置づけ、「アベノミクスを前に進めるのか、それとも止めてしまうのか。それを問う選挙だ」と宣言したが、野党とテレビ・新聞などのメディアは「大義なき解散」と名づけ、ネガティブキャンペーンを毎日のように繰り広げている。

「首相の首をつなげるための延命処置」「大臣たちの不祥事をごまかすため」「総選挙には700億、いや800億円の費用がかかる」などなど、素晴らしいネガティブっぷりだ。ちなみに、前回の選挙での費用は666億円。今回は「0増5減」の適用で議席が5席減るので、800億円も費用はかからないと思われる。

 反対に、「大義あり」発言をされておられる某著名な先生は、昨年12月6日に成立しつつも未施行の「特定秘密保護法」(秘密保護法)と「集団的自衛権」を大義として挙げている。確かにこの点は大事ではある。大事ではあるが、まず何よりも「1年半先送りされた消費税10%増税を、絶対に容認してはいけない!」と筆者は言いたい。

 下がり続けている三大税収の所得税と法人税より、まともに広く回収できる消費税をアップさせて、社会保障費を補填しようとしているわけだ。しかし今年4月に消費税が8%に上がったときや、過去に消費増税が行われたときを見てもわかるように、消費税がアップすると経済は一気に冷え込んでしまう。

 GDPの約6割を占める消費が落ち込めば、企業の業績が悪化し、社員の給与は下がり、人員削減も起きかねない。すっかり聞き慣れてしまった「負のスパイラル」で経済が悪化し、結局所得税と法人税はさらに減る可能性が高い。