住宅ローン金利が史上最低を記録し、都心部では不動産価格の上昇も見られる中、「そろそろマイホームを買うタイミングかも……」と考えている人は少なくないだろう。累計12万部突破のベストセラー『住宅ローンはこうして借りなさい』の改訂5版を上梓した、ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんに、最新の住宅ローン事情や、住宅ローンを組むうえで注意すべきポイントについてお話を伺った。
住宅ローンの組み方しだいで
老後貧乏になるかどうかが決まる!
——「不動産価格が上昇」「史上最低の住宅ローン金利」などと聞くと、「早く家を買ったほうがいいのかな」と考える人は多いと思います。今の状況について、深田さんはどうお考えですか。
モデルルームでセールストークを聞けば、「急いで家を買わなければ」と焦るのは無理もないでしょう。しかし、勧められるままに多額の住宅ローンを組んでしまうと、「老後貧乏」への道をまっしぐらに進むことになりかねません。
実は、「老後貧乏」になってしまう危険性は、一昔前よりずっと高まっているんです。
私はこれまでファイナンシャルプランナーとして住宅ローンについて多くの方からご相談を受けたりセミナー講師を務めたりしてきましたが、ここ数年、住宅ローンの借り過ぎが問題になっている人が増えています。
定年を控えた50代向けのセミナーで講師を務めると、セミナーの後に「実は退職時に住宅ローンが1000万円以上残ってしまいそうなのですが……」といった相談を受けるケースが少なくありません。
いま50代の人だと、当初借入額3000万円程度で70歳完済のローンを組んでおり、60歳時点で1000万円前後のローンが残るという人が目立ちますね。結局、退職金の大半を住宅ローンの返済にあてざるを得なくなり、老後資金が不足してしまうのです。