これからのブランディングに不可欠な、ユーザーとの共創

 これまでのインターブランドジャパンのメンバーによる論考で幾度か指摘させていただいたが、私たちが世界中の多くのクライアントのブランディング活動を支援する中で、日々実感している、確実な流れがある。

 それは、ブランディングのターゲットユーザーが個人消費者・企業顧客の区別を問わず、ブランドがその商品・サービスのユーザーによって形成され、コントロールされるようになってきているという変化だ。ブランドを「所有」しているのは当然企業や団体であるが、ユーザーによってブランドが日々変化・進化するケースが増えている。

「共創」「オープンイノベーション」「クラウドソーシング」などは既に広く知られた言葉であるが、ブランディングでは現在、その概念がさらに拡張されつつある。企業が共創を仕掛ける、という関係を超え、情報の送り手と受け手の境界線は一層、曖昧となっている。

ブランドは流動化し、生命体へ――「ブランディング3.0」時代に向けた日本ブランド変革の本質TIME Person of the Year 2006 YouTubeの動画メニュー画面

 これは「人間がこの世界をどう経験し、この世界をどう感じながら生きていくのか」という点における、本源的・根本的なシフトへの適応であり、あらゆるブランドは、こうした流れに緊密かつ迅速に対応する手を打たなければ、急速に世界から取り残され、最終的には死滅してしまうであろう。

“You”の時代

 2006年、アメリカの「TIME」誌編集部が選ぶパーソン・オブ・ザ・イヤー(Person of the Year)に、You(あなた)が選ばれたのをご記憶の方も多いだろう。その号は表紙が鏡になっていて、そこに自分の顔が映し出されるようになっていた。

 その下は、YouTubeの動画メニュー画面である。