太陽光・風力発電の新たな接続可能量はどれほどか。電力各社の答えはまさかの「増加量ほぼゼロ」だった──。

膨大な量で増え続けてきた太陽光発電。経産省の新たなルールの策定で市場の健全化は進むか
Photo by Jun Morikawa

 九州電力をはじめとする電力会社5社は、自社管轄地域において現時点で接続可能な再生可能エネルギーの量を算定し、12月16日に公表した。その算定結果が業界内で物議を醸している。

 背景には、9月末、九電が容量10キロワット以上の系統接続申し込みへの回答を「保留」すると発表したことがある。再エネ電源をつなげる、電力系統への接続申し込みが殺到し、このままでは電力の安定供給に支障を来しかねないとの判断からだった。同じような状況にある中国電力、四国電力なども相次いでそうした措置を取ったため、再エネ事業者の間に動揺が走った。

 確かに、各電力会社の現在の設備容量では、再エネ接続に限界がある。例えば、太陽光発電の適地が多い九州では、11月末時点で太陽光と風力の導入量と申込量の合計はすでに1976万キロワットに達している。春や秋など需要が低い時期の電力需要は約800万キロワットだから、その2倍を超える規模というわけだ。国は固定価格買い取り制度の推進とその事業者の認定を進めてきたが、こうした系統の容量の問題への取り組みが不十分だったことが浮き彫りとなった。

 そうした事態を解消すべく、接続可能量を拡大していく策はないかが検討されてきたが、今回の算定では冒頭のように、多くの想定において追加はわずかにとどまった。この結果を受けて、経済産業省は再エネの発電量を調整しやすい仕組みを整えることで、さらなる拡大につなげる予定だ。