『成功するシニアビジネスの教科書』(日本経済新聞出版社)村田裕之著

『成功するシニアビジネスの教科書』村田裕之(日本経済新聞出版社)

 次は、シニアビジネスの本です。シニアビジネスといえばこの方、村田裕之さんをおいてないでしょう。産学共同プロジェクトの推進など、シニアビジネスの分野で実践者として活躍中の村田さんの本です。

 団塊の世代と呼ばれた人たちが、シニア層の中心になりつつある今、ビジネスのターゲットは確実にシニア層に向いてきています。本書にも紹介されていますが、オムツの販売は、赤ちゃん向け販売をシニア向販売がついに追い越したといいます。ちょっと衝撃的なデータではないでしょうか。(紙オムツ市場:乳幼児向け1400億円、大人向け1650億円~ユニ・チャームデータ)

 本書は、シニアビジネスの第一人者である村田さんが、こうした時代背景の中で、シニアビジネスに取り組むときの様々な視点やヒントを、豊富な事例とともに解説している本です。うすぼんやりとしか見えなかったものがクッキリと見えたときの驚きに似た感覚を随所で感じることでしょう。シニアビジネスを創出するための、ビジネスチャンスの見つけ方、発想、ニーズの見つけ方などが、具体的な事例の紹介とともに解説され、ナルホド~!がいっぱいです。

 たとえばコメダ珈琲店。私も一度入ったことがあるこのお店、いかにも名古屋発祥という雰囲気の店とサービスがあります。実はこれ、シニアの居場所の定番になっているといいます。なぜかわかるでしょうか。

 朝7時から開店、山小屋のようにボックスになっている、壁の部材が木でできている、11時までのモーニングには、ドリンク代だけでトーストとゆで卵がついてくる!などのサービスがうけて、「毎日行く場所のない退職者向けの第三の場所」になっているからなのです。(家庭=第一の場所、仕事場=第二の場所、そして第三の場所)

 同じシニアでもミクロの集まりであるという著者の分析のとおり、コメダ珈琲店では満足できない富裕層のシニアもいるでしょうから、さらにこの先、異なるコンセプトの居場所がでてきてもおかしくないですね。

 このほか、旦那と旅行してもつまらないから一人で参加する「ララの旅」、究極の地元資源=おばあちゃんをおやきづくりの主役にした長野県の「おやきビジネス、小川の庄」の事例など、発想を大いに刺激する事例と洞察があります。超高齢化社会に突入した今、シニア世代を見つめる新しい視点を持つために大いに参考になるでしょう。