ドナルド・トランプ米大統領 Photo:Nathan Howard/gettyimages
トランプ氏にとって、イランの強い抵抗は想定外だっただろう。戦闘開始から2日間だけで、米軍は約8900億円の弾薬を消費したと報じられた。トランプ氏の発言がころころ変わるのは、戦闘の終結が容易ではなく、長期化リスクが高いことの裏返しとも解釈できる。特に原油価格上昇に焦り、かなりの危機感を持っているはずだ。無理もない、イランは米国の「弱点」を理解している。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)
ガソリン価格の上昇は日米で見逃せない
イラン戦争に関するトランプ米大統領の発言がころころ変わっている。元々、トランプ氏の発言には一貫性がないとの指摘は多かったが、最近はより極端に見える。米国の市場関係者と話すと、「彼は、最初から戦争に関するしっかりした計画がなかったのではないか」との意見すら聞く。
イランの革命防衛隊によるホルムズ海峡封鎖や、湾岸諸国などへの攻撃は、トランプ氏が思っていた以上に手ごわいのかもしれない。同氏の最近の強弁は、焦りの裏返しとの見方も多い。
米国もイスラエルも、イランの反撃力を過小評価しがちだとの指摘は多い。11月に中間選挙を控えたトランプ氏にとって、戦争の長期化は、自身を窮地に陥らせるだろう。早くも支持率は下落傾向にある。
わが国も見逃せないのは、原油価格やガソリン価格の上昇だ。そしてトランプ氏の支持率に最も大きな影響を与えるとみられるのが、米国内の物価上昇=インフレである。中でもガソリンの価格は、大統領の支持率のバロメーターでもある。
そのガソリン価格(米国内)が、3月第2週、中低所得層から不満が高まるといわれる、1ガロン(約4リットル)当たり4ドルの水準に近づきつつある。これはトランプ氏にとって重要なマイナス要因だ。
また、インフレに加えて、戦費が増えることで連邦財政が悪化するとの懸念もあり、金利が上昇し始めた。金利の上昇は、個人消費やクレジット市場にも負の影響を及ぼす。
イランは当面の間、ホルムズ海峡の封鎖を続けて原油や液化天然ガス(LNG)の価格の上昇をもくろむだろう。世界経済と金融市場、そしてわが国にどれほど重大なリスクとなるのか。







