(2)原油を巡る三者三様の思惑

(1)は経済面での影響だが、政治的な側面も見逃せない。ロシアが苦境に立たされた一因として、原油生産原価が中東諸国に比べ高いことがある。サウジアラビアの原価は5~10ドル/バレルと言われ、現状でも採算は確保できる模様だ。

 ロシアに加え、打撃を受けるのが米国シェールオイル業界だ。サウジアラビアとっては、米国シェールオイル業界が競争力を失うことが自らの利益にかなう。しかし、事はそう単純ではない。サウジアラビアほか一部の中東諸国は、財政収支のバランスのためには100ドル/バレル以上が必要との試算があり、いつまで辛抱できるか不透明だ。

 一方、米国はロシアへの経済制裁として原油安を利用できるとの見方もあるが、ロシア経済が深刻な事態に陥れば、世界の金融経済経由で米国へ波及する。このように、原油安の背景には少なくとも米国、中東、ロシアという三者の思惑が透けて見える。2015年、現在の流れを打破するのは、この三者のうち誰だろうか。

(3)中国経済のソフトランディングは可能か?

 中国経済の緩やかな減速は2015年中も続く見込みだ。政府も従来の7.5%前後の成長目標を7%前後へ下方修正する模様である。だが、緩やかな成長鈍化というソフトランディング・シナリオを覆しかねないリスクも高まっている。

 第1に、不動産市場では住宅価格の下落が続いている。不動産市場の調整が長引けば、歳入を不動産関連収入に依存する地方政府の財政状況も厳しさを増す。第2に、企業部門のリスク蓄積だ。中国の企業向け与信(海外金融機関からの与信含む)を確認すると、2013年末時点で対GDP比150%近傍と日本のバブル崩壊時(1990年)の水準を上回る。

 成長鈍化の中での中国企業の債務負担の増加は、不良債権の急拡大と急激な信用収縮を引き起こすリスクを内包する。13億人の市場を抱えポテンシャルは大きい中国経済だが、中長期的に成長を持続できるのか、まずは不動産市場の調整とバランスシート問題を克服できるかが試金石となろう。