米国経済の強さが際立ってきました。
通常、「景気」は「GDP(国内総生産:Gross Domestic Product)」で測りますが、直近のGDP確定値は前期 比5.0%増となっています。これは先進国の水準とすると非常に高い数字です(日本の同時期のGDP改定値はマイナス1.9%)。さらに、世界経済に与える影響が最も大きい経済指標の一つである雇用統計においても、11月の失業率は5.8%と前月と同水準でしたが、非農業部門の雇用者数が約32万人増と市場予想を大きく超えています。一般的に雇用者数の増加が20万人を超えると景気拡大と考えられています。
米株価は史上最高値を更新
ドル独歩高で一人勝ちの米国経済
米国株式も好調で、ニューヨークダウは1万8000ドルを突破し史上最高値を更新しました。為替市場においても、日本や欧州も景気が低迷しており、さらに、好調な雇用状況によって早期利上げ観測が浮上しており、ドル独歩高となっています。
「量的金融緩和政策」で長期金利が低下し、株価や住宅価格が上昇したことで、「資産効果」が大きく働いて(日本は効き目が弱い)、消費やその先の雇用も大きく回復してきています。一方、経済全体に占める輸出の割合が低いため、中国をはじめとした新興国の成長鈍化も大きな影響はないのです。
米景気拡大を後押しする原油安
シェール革命は国家戦略か?
さらに米国の景気拡大を後押ししているのが、原油価格の下落です。安くなった分、消費を拡大できますし、製造業にもよい影響があります。IMF(国際通貨基金)は原油価格が3割下がると先進国の経済成長率を0.8%上昇させるとの試算を示しています。原油価格は昨年約5割下落しており試算以上の好影響をもたらすでしょう。
原油価格の下落の原因は「シェール革命」、すなわち、米国内のシェールオイルとシェールガスの生産増です。米国は巨額の貿易赤字で悩んでいましたが、このシェールオイルとシェールガスのお陰で、貿易黒字国になることも夢ではなくなってきています。
原油価格WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト:West Texas Intermediate)は、過去史上最高値としては140ドルまで上昇(リーマンショック後)しましたが、最近では100ドルから50ドル近辺まで下落しています。