この一冊で戦略思考を鍛える

――経営戦略を題材にした本としては異色の構成だと思いますが、部数はいかがでしょうか。

鈴木貴博(すずき・たかひろ) [百年コンサルティング代表取締役]
東京大学工学部物理工学科卒。ボストンコンサルティンググループ、ネットイヤーグループを経て2003年に独立。持ち前の分析力と洞察力を武器に、企業間の複雑な競争原理を解明する競争戦略の専門家として豊富な経験を持つ。 『パネルクイズアタック25』で優勝。そのほか、『カルトQ』などクイズ番組出演歴多数。高校生向けの超有名番組にクイズ作家として匿名で参加した経験もあり。

鈴木 おかげさまで1冊目の『戦略思考トレーニング』は17刷まで版を重ねました。2、3ヵ月に一度は重版がかかっていて、シリーズ全体では発行部数14万部ほどになりました。こんなに反響があるとは思っておらず嬉しいですね。

――日経文庫は教科書になるようなきっちりした構成をするシリーズだと思いますが、すごい冒険でしたね(笑)。

鈴木 日経文庫のフォーマットの中で出来る範囲内での挑戦ですね。かなりギリギリだと思いますが(笑)。

――前代未聞の「経営戦略クイズ」ですが、執筆の際に苦労はありましたか。

例題(回答は次ページ) 『戦略思考トレーニング』37Pより抜粋
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鈴木 おそらく戦略コンサルタントを長くやっているような人は『戦略思考トレーニング』に収録されている問題の元ネタになるような事象は10~20くらいは持っているはずなんです。ただ、その元ネタをどうやって面白いクイズに加工するかというのはクイズマニアじゃないとできないんですよ。

――クイズを解くことで戦略思考が身につくのはなぜなんでしょうか。

 鈴木 戦略思考は「常識を超える力」「論理思考力」「柔軟な発想力」「たくさんの知識」の四つ、と私は定義しているんですが、これはまさにクイズを解くことと同義なんです。

 この本は固定観念に囚われたり、常識的な発想から抜け出すいい練習になると思います。