戦略思考=知識×クイズ発想

鈴木 ただもう一つ言っておきたいのは戦略思考には「たくさんの知識」もやはり必要です。

 私がBCGで勤めていたとき、活躍しているコンサルタントは圧倒的に知識量が多い。知識量が少ないと自分の狭い範囲内でしか考えられず戦略コンサルとして機能しない状況をずっと見てきました。

 知識を土台にしつつ、いかに発想を転換できるかが大事です。

――戦略思考を学ぶ本に「AKB48」や「俺のフレンチ」といった流行のトピックが出てくるのはなぜなんでしょうか。

鈴木 これはBCGで働いていた頃からなんですが、私は「街角派」なんです。街を歩きながら今の経済を知るのが好きなんです。たとえば日本のコンサルタントの中で私ほど「俺のフレンチ」に通っている人はいないと断言できます(笑)。

――「街角派」として今回の『戦略思考トレーニング』も執筆されたんでしょうか。

回答
『戦略思考トレーニング』38Pより抜粋
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鈴木 難しく戦略論の本を書いても面白くないし、これほど部数も伸びなかったと感じます。

 クイズ形式にして面白く、かつ流行のトピックを題材にすることで読んでくれた方が少しでも楽しんでくれたらいいなという気持ちで書きました。だから普段はビジネス書を読まない人も買ってくれたと思っています。

――難しいことをわかりやすく伝えることにはこだわりがあるんでしょうか。

鈴木 高校生の頃に藤田田さんの『ユダヤの商法』を読んで感銘を受けたんですね。とにかく読んでいて圧倒的に面白い。いかにも極論めいているようで意外に正しいと思えるところが少しビートたけしさんに似ていると思ったりもするんですが(笑)。

――今後の執筆活動について教えてください。

鈴木 今度、新作問題をふくめた『戦略思考トレーニング』のベスト版を発売する予定です。今後は『戦略思考トレーニング』を発展的に展開したものを三つ考えています。一つは端的にクイズ!(笑)。もう一つは「常識を捨てる」発想術をビジネスによせて語るものです。最後に動画コンテンツを含んだ書籍ですね。