今回ご紹介するのは、『ザ・プロフェッショナル』です。著者の大前研一氏はこの本の中で、21世紀はスペシャリストでもゼネラリストでもない、プロフェッショナルが求められている、と主張します。その定義と条件を少しだけご紹介します。

ハウツー本を否定し
プロフェッショナルの心得を説いた書

大前研一著『ザ・プロフェッショナル』2005年9月刊。モノクロの大前氏の写真が威厳を感じさせます。

「早晩、プロフェッショナル・クラスが台頭し、日本産業界を揺り動かす」

 本書『ザ・プロフェッショナル』は、著者・大前研一氏のこんな“予言”で始まります。

 その予言の内容を、もう少し具体化してみると――。

 純度の高い資本主義、健全なる自由競争、真実の実力主義といったものがますます現実化し、一方で問題や状況、優先順位などに応じて正しい知識とスキルを組み合わせ、その解決を図ることのできるビジネスマンが一般化する。すなわち、プロフェッショナリズムがアマチュアリズムを凌駕し、さらなる高みを求めて研鑽を重ねるプロフェッショナルが増殖していく時代が訪れる、ということになります。

 もっとも、本書は“予言書”ではありません。プロフェッショナルを育てる“強化書”です。プロフェッショナルの心得に始まり、プロフェッショナルになるための知的基本要件について詳細な解説を加えています。ただし、いわゆる“ハウツー”ではありません。「無考えにハウツーを求め、これにすぐさま飛びつくような態度は、プロフェッショナルたる者、戒めなければならない」からです。本物のプロフェッショナルは、そのようなハウツーをまず疑ってかかるものなのです。