政治報道はよく“数字”と“人事”だといわれる。
確かに、予算額や税率、勉強会への議員の参加人数、選挙の得票数など、政治記者たちは血眼になって取材を繰り返す。また、党役員人事、組閣リストなど人事でも競って特ダネを追っている。
そうした意味で、2008年の政治報道は、良くも悪くも、活況を呈していたのかもしれない。1月の福田内閣の改造の是非、平成20年度予算額、夏の内閣改造、自民党総裁選、そして、散々だった「解散日」報道――。
確かに、どれも“数字”と“人事”を追った政治報道に違いない。しかし、その中でも“解散日”の予測だけはいただけない。果たしてそれを報道と呼んでいいものなのか、筆者はいまだに疑問を抱いている。
解散・総選挙に関する報道で、日付の前打ちほど無意味なものはない。それは、政治家や役人など一部のプレイヤーたちと、選挙特番などで、事前の準備を必要としているメディア関係者だけの関心事にすぎない。
むしろ、国民の興味は、いつ選挙をするかではなく、何を争点にどういった政策を示して総選挙を行うのかにあるのではないか。
「10月26日」だろうが、「11月2日」だろうが、「11月9日」だろうが、「11月23日」だろうが、「11月30日」だろうが、実は大して意味があることとは思えない。しかも、これらの解散日を報じた政治記事は、結果、すべて外れている。
果たして2009年の永田町では、一体どういった政策テーマのもと、国会審議が行われるのだろうか。またどのようなアジェンダ・セッティングが為され、総選挙に突入するのだろうか。
2009年に限れば、「解散日」報道が示す通り、もはや“数字”は重要な材料ではないかもしれない。1月5日からの通常国会で審議されるのは、いずれも国民生活にとって重要な課題であり、本来、政治報道の場でも十分論じられるべきテーマばかりなのだ。
そこで今回は、論争になるテーマを予測し、2009年の政界を展望してみようと思う。
不人気な定額給付金
法案通過はほぼ確実
通常国会の最初の山場は、「定額給付金」の問題になるだろう。先送りされた第二次補正予算に含まれるこの法案は、当初は、総選挙を意識した公明党から出されたものだった。だが、世論の7割が反対という結果を受けて、「定額給付金」は迷走を開始。仮に法案が成立しても、国民ひとり当たり1万2千円では、この不況下では貯蓄に回り、景気対策としての効果が薄いなどの批判が続出した。