どれだけのキャッシュを節約できるのか

 ところで、E社では昨年も税引前利益が5000万円出て、法人税を2000万円払っていました。したがって、昨年支払った税金の半額である1000万円を中間納付しています。しかし、当期の本決算は赤字なので、税金は発生しません。ということで、この前納していた1000万円が手元に戻ってくるのです。

 また、これから納める当期の税金は、本来であれば1000万円(税引前利益5000万円×40%-中間納付1000万円)でしたが、これも払わずに済みます。オフバランスを実行することで、土地、建物の売却代金2億5000万円と、中間納付の還付金1000万円、これから払わずに済む1000万円の合計2億7000万円を手に入れたのです。

 さらに効果が大きいのは、次の期以降です。毎年5000万円ずつ利益が出るならば、向こう4年間は税金がかからないのです。つまり2億5000万円の損失を出すことで、2億円(5000万円-2億5000万円)は、「繰越欠損金」となり、これが累積して解消するまでは、次の期以降、利益が出ていても税金はかからないことになります。

 本来なら毎年2000万円(5000万円×40%)ずつ税金を払わなければならないところ、オフバランスすることで、その支払いが免除されたのです。その効果は、2000万円×4年=8000万円です。

 まとめると、2億7000万円+8000万円=3億5000万円ものキャッシュ(お金)が節約できるのです。