子会社は銀行からの借入で不動産を買う

 次に、子会社F地所は、2億5000万円を新しく銀行から調達します。

 F地所は設立後、間もないため、単独だとそこまで借りられません。そこで、親会社E社の保証(もしF地所が返済できなかったら、E社が肩代わりするという契約)をつけて借入実行です。E社は、F地所に土地、建物を売却したあとに、それをリースバック(賃借)する契約をしています。F地所の借入金返済原資は、E社からの賃貸収入でつくります。

 資金調達ができれば、E社の土地、建物を取得するだけです。親子間の取引といっても、契約書はきちんとつくります。収入印紙も貼りましょう。取締役会の議事録もつくるべきです。親子間だと、こうしたことがついつい加減になってしまいますが、税務調査で指摘されかねません。エビデンス(証拠書類)を揃えることが大切です。

 親会社E社は、子会社から入ってきた売却代金の2億5000万円で銀行借入金を返済します。5億円の土地・不動産を2億5000万円で売ったのだから、売却損が2億5000万円も出ます。

 当期のP/L(損益計算書)を見ると、この売却損を考えなければ、税引前利益が5000万円ですので、最終利益は赤字が2億円(5000万円-2億5000万円)になる計算です。しかし、本業の営業利益はしっかりと出ているので、銀行対策として、何も恐れる必要はありません。