多くの中小企業は、資金繰りに苦しんでいる。たとえ毎年利益が出ていても、なぜかお金が残らないという会社をよく見かける。それには原因がある。会社からキャッシュが流出する2つのことに対処していないからだ。

お金が残らないのには
2つの原因がある

「お金がたまらない!」

 多くの中小企業の経営者は、いつもお金のことで悩んでいます。

 政府の景気対策の効果もあって、日本経済を取り巻く環境は少しずつ改善の兆しが見え始めてきました。しかし、この恩恵を受けているのは大企業が中心です。海外から材料を仕入れ、国内で製品をつくって販売するパターンが多い中小企業では、円安によって仕入れコストが上がり、かえって苦しくなっています。おまけに、大企業は業績回復を受けて、従業員をどんどん増やしています。その結果、時給を上げて、求人広告をいくら打っても、中小企業には人が集まらなくなっているのです。

「だから、お金がたまらないんだ。仕方ないけど」

 こういう発想になりがちですが、そうはならないでください。それよりも、なぜお金がたまらないかについて、考えに考え抜いたことがあるでしょうか。

 売上が上がらない、原価が下がらない、労務費が上がり続けている……、実はこれ以外にも会社にお金がたまらない理由があるのです。それがこの連載のテーマである「借金」と「税金」です。

「どうして?」と思われた経営者は、これらをコントロールするという発想をこれまで持っていなかった方です。そういう会社にはお金がたまらなくて当然です。きっと、こう思っているのではないでしょうか。

「銀行から借り入れたら、その分お金が増える。借りられるだけ借りるべきだ!」
「税金をきちんと払うのが、会社の責任だ。税金を払わないなんて、非国民だ!」

 確かに、会社の未来が明るく、お金に不自由しないキャッシュリッチ(お金持ち)な会社は、そういう考え方でいいかもしれません。しかし、ほとんどは、そうではないはずです。会社の未来も不確かで、お金も手元に残っていないわけです。