赤羽雄二氏は、マッキンゼーで14年間活躍するなかで、同社のソウルオフィスをゼロから立ち上げ、120名強に成長させる原動力となるとともに、韓国企業、特にLGグループの世界的な躍進を支えた人物だ。1人で7~10のプロジェクトを同時並行的に担当するなどの修羅場をくぐり、独立後の現在も複数の大企業の経営改革を進めつつ、10社を超えるベンチャーの経営支援を行ないながら年間50回を超える講演・ワークショップをこなしている。
今回はその驚異的な仕事量を実現する仕事術のうち、「メール」「会議」「資料作成」それぞれの秘訣を明かしてもらう。

メールはすぐ返信する

 メールは溜めれば溜めるほど悪循環が起きるので、溜めずにすぐ返信するとよい。私の場合、もちろん打合せ中などはチェックできないが、席に戻ったあと、あるいは外部での打合せが終わって移動中などに、1日に20~30回はチェックして返信している。大変だが、溜めたらもっと大変なことになるので必ずやり通している。

 メールをすぐに返信するようにすると、仕事のスピードがかなり速くなる。すぐ返信すると、その返信・質問への返信もすぐ帰ってくるので、あっという間にやり取りが終わる。また、返信の速さに相手が驚き、こちらの熱心さや誠意を感じてくれることも多い。
 メールをすぐに上手に返信するには、心がけ以外にも次のようなポイントがある。

◎メーラーの選定
◎フォルダ分け
◎優先順位をつけない
◎メールを書くスピードを加速する
◎むずかしい内容のメールは翌朝まで寝かせておく

 メーラーは、Thunderbird を使っている。以前はOutlook Express だったが、受信トレイがよく壊れるので、かなり前に切り替えた。メーラーは好みで決めていただければもちろん何の問題もないが、唯一、あとで述べるように個別メールのファイルをフォルダで保存できるもののほうがよい。

 受信トレイをフォルダ分けしている方をよく見かけるが、私はやっていない。分けるとそれを一々見ないといけないので手間どるし、チェックし忘れて大事なメールへの返事が遅れることもあり得るからだ。

 メールに優先順位をつけて返信しようとする人もいるが、私は特にそうしていない。端から返信するほうが無駄がなく、結局速いと考えている。

 メールへの返信を書くことに時間がかかっている人が多いようだが、これは練習、実践を積んで、徹底して加速していく必要がある。まさに「メールを制する者が時間を制する」からだ。『ゼロ秒思考』でお勧めした「メモ書き」を1000ページ(数ヵ月)以上実践すると、メールの返信がかなり速くなる。相手の要求のポイントが素早くつかめ、どう返信すべきかが瞬間的に浮かぶようになるからだ。

 書いた返信内容は、簡単なものであればすぐ発信すればいいが、むずかしい内容のものであれば、いったん翌朝まで寝かせておくとか、せめて10~15分置いて、見直してみてから発信するとよい。そうしないと、「あ、しまった!」と後悔することになる。むずかしい内容のメールを書くには時間がかかる人が多いだろうが、数をこなすうちに、「メモ書き」をするうちに、だんだん慣れてきてほとんど止まらずに書けるようになる。