インフルエンザ流行に
あなたはどう対処する?

 いま、東京のどの地区で、インフルエンザの感染者が多いのだろうか――。

体温計自体に電池は入っていない。スマートフォントと無料アプリがあれば、すぐに使える。

 もちろん、日本ではこうした情報は存在しないし、サービスを提供している会社は見当たらない。今の段階では、流行に対して「受け身」でしか対応できない。できるとすれば、医療機関ならタミフルを多めに仕入れたり、個人であれば出かけるときはマスクをし、警戒することくらい。

 ただ、もしこうした情報がスマートフォンで、リアルタイムに届けられればどうなるだろう。効果的な予防につながり、流行を最小限に封じ込めることができるはずだ。国立感染症研究所は現在、全国的に「流行警報」を発令しているが、その必要もなくなるのではないか。

 アメリカ、ニューヨークで生まれた「キンサ(Kinsa)」は、まさにこの問題解決に取り組む会社だ。同社の製品はスマート体温計。アップルのiPhoneやアンドロイド端末のイヤホンジャックに体温計を指し、体温を測ることができる。

「デバイスとしては非常に単純で、体温計をスマートフォンにつなげただけだが、キンサは誰も考えつかなかったところに目をつけた。それに、キンサの目指すところが非常に面白く、社会的にもインパクトがある」

 こう語るのは加藤雅己・Venture Scanner共同創業者・ IoT担当アナリスト。Venture Scannerは、シリコンバレーを拠点にスタートアップ企業に対してコンサルティングや育成をするNSV(NetService Ventures)が提供する、投資家や金融関係者、事業者向けの情報サイト。各分野に専門のアナリストを抱え、今いちばん注目されるスタートアップの動向を追い続け、その情報をVenture Scannerに日々、アップしている。