企業人よ
一石を投じよう

 しかし、ここ数年、着実に潮目は変わりつつあります。上記3つの注意事項を丁寧に意識しながら、さまざまな動きをする人たちが、大学にも企業にも増えてきているのです。

 双方が一緒になって進める取り組みも増え、例えば、大学でも多くの思いのある教員の皆さんが素晴らしい授業改革を進め、企業人を上手に巻き込むケースも増えてきています。

 これは、大学が少し「社会の入口」の立ち位置を取り戻しつつある動きだといえるかもしれません。

 私たち、採用に携わる企業人は、こういった大きな流れの中で、自社の採用活動の成功を徹底的に目指すとともに、日本の新卒採用について、一石を投じる責任があるはずです。

 自社のビジネスの社会性を語り、自社のCSR活動や社会貢献活動を誇り、ダイバーシティが大切だと訴え、イノベーティブな人材を求めると主張するのであれば、自社のやっている採用活動はそれに合致しているのか、企業人として自らに問いただす責任があります。

 スケジュール横並びの採用活動はイノベーティブなのか、今までの採用活動を踏襲することは本当に社会性のあることなのか……。

 もちろん、大きく舵を切ることは、簡単にはできないでしょう。そして、採用担当者が何よりも勝ち取るべきは、将来につながる自社の採用の成功です。

 しかし、1つでも「何かを変えた」という実感を各社の1人ひとりの担当者が持つことができれば、これは大きなパワーとなり、うねりとなります。

 2015年度の採用活動では多くの企業の担当者が、もの凄い思いをもってこれにチャレンジしました。2016年度の採用活動では、さらに多くの企業の担当者がこれにチャレンジしようとしています。

 そんな私たちの動きによって、2010年代の半ばの時代は、「日本の新卒採用活動はあの頃に変わり始めたね」と歴史に語られるような時期に、きっとなります。

 さあ、あなたはどんな一石を投じますか。

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